は報告しておるのであります。この報告によってニッポンへやって来る人間が、大変に多くなったのであります。そういう志を持つヨーロッパ人が急激に増加したのであります。
けれども、皆さん御存知のいわゆるキリスト教というものが、このニッポンへ渡来いたしまして、そして、本当の意味でニッポンと外国とが政治的に接触いたしましたのは、それから六年ほど経ちました一五四九年の、七月十五日のことでありますが――これはキリスト教の歴史という点で考えますと非常に大切な日なのであります――、この日に、フランシスコ・ザヴィエルという人物が、ニッポンの土地に初めて到着したのであります。
さて、この事実についてでありますが、われわれが特に記憶しておかなければならぬことがあるのであります。それは、この時に初めて日本の土をふんだ、このフランシスコ・ザヴィエルという宣教師は、当時、ヨーロッパにおきましても、まれに見る高僧なのでありまして、ジェスイットという宗派は、御存知のとおり今日でも残存致しているのでありますが、この宗派の開祖であるロイラーなる人物の最も親密な協力者であり、また最も信頼された同志であり、自他ともに許した最
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