》けつけて行って聞いてみると、案に相違して、今、高僧が来着したから、礼砲を打ったのだという話であります。駛けつけた連中は、非常に吃驚りいたしまして、帰ってそれを城中へ報告します。
臼杵の殿様はそれを聞いて、そんなにみんなが尊敬している高僧ならば、ぜひ会いたいものだというので、また使いが飛んで、ザヴィエルは臼杵の殿様に会うことになりました。
この殿様というのが、大友|義鎮《よししげ》、後に宗麟《そうりん》と名を変えた人であります。この対面の時というのが、実に大変なものでありまして、ポルトガル商船の一行は、豪華版をひろげたのであります。
まず行列の最前列には、楽隊がずらりと並び、その後には金モールや銀モールの美しい、凛々しい服を身につけたポルトガル人が騎馬で、並んだのであります。次ぎにはザヴィエルが乗物に乗りまして、またその後には船長が土産物を沢山に盛りあげた姿で、乗り込んで参りました。
この土産物を差出して、謁見ということになったのであります。その威儀の堂々たるところに、大友宗麟は感動してしまいまして、直ちにキリスト教の布教を許したのでありますが、それだけでなく、この様子を見て、
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