いかということになりました。使いの者の言葉を聞いて、ザヴィエルが臼杵までやって参りますと、船のほうでは、それ東洋布教師が来たのだ、というわけで、船中の全員がそろって盛装して出迎えに行ったのであります。
一方、ザヴィエルのほうはどうかと申しますと、いつものとおり乞食に似たような姿恰好をいたしまして、馬へもカゴへも乗らずに徒歩でやって参ります。それだけならまだいいのでありますが、ザヴィエルは、旅の途中で熱病にかかりまして、身体に熱はあるしだるいしという訳で、フラフラしながらやって来たのであります。
みんなが、
「どうか、馬に乗って下さい」
と云ってすすめても、云うことを聞きません。仕方がないから出迎えに来た盛装の連中も、みんな馬に乗っていましたのに、わざわざ降りてしまいまして、そうしてザヴィエルの後からぞろぞろと随《つ》いて参ります。そうして、いよいよポルトガルの船の碇泊をしております所まで参りますと、六十三発の大砲をぶっ放しました。
臼杵の城内では驚きました。そら、ポルトガルの船が海賊と戦争を始めたというので、あわてて兵士をくり出しまして、あわてて救援に参ったのであります。駛《か
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