ドンとの関係であり、裏面ではチークダンスの関係である。そして、子供ができる。それを育て愛するに動物本能の関係である。
 密室だろうと表向きだろうと、犯罪は犯罪、無罪は無罪であろう。北斎は密室を描いてもワイセツの低さはなかった。趣味教養の然らしめるところである。
 悪趣味や無教養というものはフンジバッて、牢屋へ投げこんでも、どうなるものでもない。チークダンス愛好家は悪趣味、無教養というだけのことであるから、その対策はフンジバルこととは別だろうと私は思う。
 密室を高めなければダメなのである。

     講談の世界

 賭場を襲った強盗がある。十五万円と腕時計を六ツぐらいはぎとって、金モウケはこういうグアイにやるものだ、バクチなんてケチな金モウケをするな、と一場の訓辞をたれて引上げた。賭場の胴元は口惜しくてたまらず、涙をのんで訴えでて、バクチの方の御常連十四方は仲よくジュズツナギにならせられたという。泣きッ面に蜂であるが、自分たちがジュズツナギになることよりも、復讐の一念がより大きな願望であったとすれば、このへんの幸と不幸、満足と不満足、損とモウケ、心理を加味した如上の計算はまことに複雑
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