の種にとんだ苦労をしなかつたら、そんなことをクヨ/\と誰が二六時中考へてなぞゐるものか! とさ。
 女に惚れる、別れる、ふられる、苦しむ、嘆く、そんなことは実はどうでもいいことなんだ。
 惚れるも易い、別れるも易い、また悲しむも易からう。けれど、女に惚れ、女に別れたあとで、さて、何事を改めてやりだせといふのだ? 友よ、何を改めてやりだしたらいい? 言つてみろ! 畜生! 俺がそれを知つてゐたら、誰がくそ一々放埓に結びつけて、こんなセンチメンタルな悲哀なんぞを感じるかといふのだ!



底本:「坂口安吾全集 01」筑摩書房
   1999(平成11)年5月20日初版第1刷発行
底本の親本:「作品 第六巻第十二号」
   1935(昭和10)年12月1日発行
初出:「作品 第六巻第十二号」
   1935(昭和10)年12月1日発行
※新仮名によると思われるルビの拗音、促音は、小書きしました。
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2009年4月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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