は、あらたに某誌へ続稿を連載する時には、私自身の新しく選んだ題名に変更するつもりである)
以上が本文の主旨であるが、以下、私は漫然と、私の精神の周囲を散歩してみようと思う。
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伊豆の伊東へきて、もう九日になった。ちょうど一週間目に体重をはかったら、私は伊東へきて四キロふとり、六十七と八を上下する体重になっているのである。ここへ着いた翌日は六十四キロであった。六十七・五キロと云えば、ちょうど十八貫、私の生涯でこれほどふとったことはない。
私は京都で、たった二日のうちに、十五貫から十七貫五百になったことがある。これは脚気《かっけ》でむくんだせいである。むくむのも目方のうち、とは、その日まで気がつかなかったが、むくみにしても、にわかに二貫五百ふとると、我ながら堂々と、たのもしく、ズッシリとわが身の重みを感じるものである。モットモ脚気というものは、足が挙らなくなるものだから、そッちの方で甚大な重みを感じることも事実だが、鏡にうつしても堂々たるもの、但し、二日で二貫五百もふとると、人相まで一変してしまう。私の人相が、にわかに、出羽海に似ていたので、たいへん感服した
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