リートの上下四方ていねいに拭かせ、水を一滴こぼしても、コラ、なんてことするのよ、地上建築と違うよ。衛生が判らないの、マヌケモノ! と叱りつけ、それでも湯を沸して、お茶をついでくれて、
「ハイ、御苦労さま。あんたは一つでタクサンだ」
と、まずそうな大福をひとつ皿にのせてくれて、自分はヨーカンだのカノコだのと大きな菓子皿からとりだして食べている。
「ボクにもヨーカンおくれよ」
「ダメ」
と、冷めたく一言、自分がたべるだけ食べてしまうと、菓子器をかたづけて、
「ねえ、アンタ。アンタの社で、私をいくらで使ってくれる。タイクツなのよ。それにオコヅカイも、足りないのよウ」
「そうだなア。三千円ぐらいじゃないかネ」
「一カ月の給料よ」
「だからさ。それだって、高すぎるんだよ。だいたい、女の子が、三人で、男の一人の仕事もできないからねエ」
「ヘーン。アンタはいくら貰うの」
「六千円ぐらいだね」
「ナニ言ってんだい。アンポンタン。私はねエ、目があったら、私を見てごらん。エロ作家ぐらい、一目で悩殺しちゃうからネ。私のナガシメはネ、十幾通りも変化があるけれど、文士なんか二ツ目までゞタクサンだ。オマエサン
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