閧ヘ震えて服を探しあてることができず、足は弱りきっていた。一足ふみ出すと、荷を背負いすぎた人夫のようによろめいた。それでも私は看守のあとについていった。
二人の憲兵が監房の入口で私を待ち受けていた。私は再び手錠をはめられた。それには複雑な小さな錠前がついていて、注意深く鍵がかけられた。機械の上にまた機械をつけるのであるが、私はされるままにまかした。
私たちは内部の庭を横ぎっていった。朝の鋭い空気が私を元気づけた。私は頭をあげて歩いた。空は青々としていて、暖かい太陽の光が、多くの長い煙突に断ち切られ、監獄の高い薄暗い壁の上方に、大きな光の角度を描いていた。果たして上天気だった。
私たちは螺旋形《らせんけい》に回ってる階段をのぼっていった。そして一つの廊下に出《い》で、なおも一つの廊下に出で、なおも一つ廊下を通った。それから低い扉が開かれた。そうぞうしい熱い空気が私の顔に吹きつけてきた。重罪裁判廷の群集の息吹《いぶき》だった。私は中にはいった。
私の姿を見て、武器や人声のどよめきが起こった。腰かけが音高く置き直された。仕切りの板がきしった。そしてその長い広間を、兵士らに遮られてる二
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