チた。彼らはうち震えて歯の根も合わなかった。彼らの痩《や》せ細った脛《すね》は、ふしくれだった膝は、両方ぶつかりあった。そして彼らが血の気を失った手足に、そのぬれたシャツをひっかけ、その上衣をまとい、その水のしたたるズボンをつけるのは、見るも憐れなありさまだった。裸体のほうがまだましだろう。
 ただ一人、老人だったが、なお多少の快活さを見せていた。ぬれたシャツで体をふきながら、これは予定にはいってなかった[#「これは予定にはいってなかった」に傍点]、と叫んだ。それから天に拳《こぶし》をさしつけて笑いだした。
 彼らは旅の服をつけてしまうと、二、三十人ずつ一団をなして中庭の他の隅に連れていかれた。そこには地面に伸ばされてる綱がそれぞれ待ち受けていた。それは長いじょうぶな鎖で、二ピエおきに他の短い鎖がついていて、その先端に四角な首枷《くびかせ》が取りつけてある。首枷は一方の角にはめてあるちょうつがいで開き、反対の角で鉄のボルトで閉まるようになっていて、徒刑囚の首に移送のあいだじゅう鋲締《びょうじ》めされる。そういう綱が地面に広げられているところは、大きな魚の骨の形に似ている。
 徒刑囚らは
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