謔闖ャさな第二の中庭があって、こちらと同じように黒ずんだ壁と切妻とで囲まれている。
こちらの大きな中庭には、周囲にぐるりと、壁によりかかってる石の腰かけがあって、まんなかに、ランプをさげるためのまがった鉄の柱が立っている。
十二時が鳴った。奥まったところにかくれてる大きな大門が突然開かれた。一台の荷車が、青い服と赤い肩章と黄色い負革とをつけてる汚い見苦しい一種の兵士らに護られて、鉄具の音をたてて重々しく中庭にはいってきた。それは徒刑の一群と鎖とであった。
同時に、あたかもその音が監獄じゅうの音を呼びさましたかのように、その時まで黙ってじっとしていた窓の見物人らは、喜びの叫びや、唄の節や、脅かしの言葉や、呪いの声を、聞くもいたましい笑いとともに、一度にどっと挙《あ》げた。ちょうど悪魔の面を見るがようだった。どの顔にもみな渋面が浮かび、すべての拳《こぶし》が鉄格子から突き出され、すべての声がわめき、すべての目が燃えたった。いわばその灰の中からそれほどの火花がひらめきだすのを見て、私は恐ろしくなった。
そのうちに監視らは平然と仕事を始めた。その中には、きれいな服装や恐怖の様子などで、
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