る。すべてそれらの名目は、美辞麗句であり空太鼓《からだいこ》であり空言《そらごと》である。そのふくらみは針でひと突きすれば縮んでしまう。その描かぶりの饒舌《じょうぜつ》の下にあるものは、冷酷、残忍、野蛮、職務熱心を示そうとの欲望、俸給を得るの必要、などばかりである。不徳官吏ども、口をつぐむがいい。裁判官のもの静かな足の下に死刑執行人の爪がのぞいている。
非道な検事はいったいどういうものであるかと考える時、人はなかなか冷静ではいられない。それは他人を死刑台に送ることによって生活している人間である。本官の刑場用達人である。そのうえ、文章や文学にうぬぼれをもってる一個の紳士で、弁舌が巧みであり、あるいは弁舌が巧みだと自ら思っており、死を結論する前にラテン語の詩を一、二行必要に応じて暗唱し、効果を与えることにつとめ、他人の生命が賭けられてる事柄に、みじめなるかな、自分の自負心だけを問題とし、特別な模範を、およびもつかない典型を、その古典ともいうべき人物をもっていて、某詩人がラシーヌを目ざしあるいはボアローを目ざすように、ベラールとかマルシャンジとかいう目標をもっている。弁論では断頭台のほう
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