轤ヘ法と正と善とのうちに自負するところがあった。ジュヴネル・デ・ジュルサンは自ら審判者だと信じ、エリー・ド・トレットは自ら審判者だと信じ、ローバルドモンやラ・レーニーやラフマスなどでさえ、みな自ら審判者だと思っていた。が、諸君は心底において、自分は殺害者ではないという確信さえもたない。
 諸君はグレーヴの刑場を去ってサン・ジャック市門におもむき、群集を避けて寂寞《せきばく》の地を選び、白昼よりも薄明の頃を好んでいる。もはや確固たる信念でことをなしてはいない。諸君は隠れひそんでいる、と私はあえて言う。
 死刑に賛成のあらゆる理由は、かくのごとく破れてしまう。検事局のあらゆる論法は、かくのごとく無に帰してしまう。それらのあらゆる論告のはしくれは、かくのごとく一掃されて灰燼《かいじん》になる。すべてのへりくつは論理の鎧袖一触《がいしゅういっしょく》で解決される。
 法官らが、社会を保護するという名目のもとに、重罪公訴を保証するという名目のもとに、実例を示すという名目のもとに、ねこなで声で懇願しながら、陪審者たり人間たるわれわれにむかって罪人の首を求めにくることが、もはやないようにしたいもので
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