チてるところを呼ばれて、二時間後には死ななければならないことを告げられた。彼は全身ふるえあがった。なぜなら、もう六か月間も彼は放っておかれて、死を予期していなかった。彼はひげをそられ、髪を刈られ、縛りあげられ、懺悔《ざんげ》をさせられた。それから四人の憲兵に護られ、群集のあいだを通って、刑場へ車で運ばれた。そこまでは何の奇もなかった。いつもそういうふうになされるのである。断頭台に着くと、死刑執行人は彼を司祭から受け取り、彼を奪い去り、彼を跳板の上にゆわえ、隠語を用いれば彼を竈に入れ[#「竈に入れ」に傍点]、それから肉切り庖丁を放した。重い鉄の三角刃は落ちぐあいが悪く、溝縁の中にがたついて、ひどいことには、男を切っただけで殺すに至らなかった。男は恐ろしい叫び声をたてた。死刑執行人は狼狽して、また庖丁を引きあげて落とした。庖丁は二度|科人《とがにん》の首を切ったが、まだそれを切断しなかった。科人はわめき、群集もわめいた。死刑執行人はまた庖丁を引きあげて、三度目に望みをかけた。だめだった。三度目の打撃は受刑人の首すじから三度血をほとばしらせたが、頭を切り落とさなかった。簡単に述べよう。肉切庖
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