驍サの広場に集まる、ということもあるかもしれない。青ざめた血まみれの群集で、私もそのなかにはいってるだろう。月の光はなく、みなは低い声で話す。市庁がそこに腐食した正面と、きれぎれの屋根と、みなに無慈悲だった時計面とを見せている。広場には地獄の断頭台があって、一人の悪魔が一人の死刑執行人を処刑している。午前の四時のことだ。こんどはわれわれが周囲の群集となるのである。
おそらくそうなんだろう。しかしそれらの死人がまた出てくるとしたら、どういう形で出てくるだろうか。断ち切られた不完全な体のどこを保存してるだろうか。どこを選んでるだろうか。幽霊になるのは、頭だろうか胴体だろうか。
悲しいかな、死はいったいわれわれの魂をどうするのか。いかなる実体を魂に残すのか。魂から何を奪い、あるいは魂に何を与えるのか。魂をどこに置くのか。この地上で眺めるためにそして泣くために、肉眼を魂にかしてやることがあるのか。
ああ、司祭、そういうことを知ってる司祭、それを一人私はほしい、そして接吻すべき一つの十字架像を!
ああしかし、やはり同じことだ!
四二
私は眠らせてもらいたいとたのんで、
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