れて、彼になお第三|齣《せつ》を歌わせた。

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陽気なのは俺《おれ》の性質、
罪はヴォルテール、
みじめなのは俺の身じたく、
罪はルーソー。
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 そういうことがなおしばらく続いた。
 その光景は、すさまじいとともにまた愉快なものだった。ガヴローシュは射撃されながら射撃を愚弄《ぐろう》していた。いかにもおもしろがってる様子だった。あたかも猟人を嘴《くちばし》でつっついてる雀《すずめ》のようだった。群が来るごとに彼は一連の歌で応じた。絶えず射撃はつづいたが、どれも命中しなかった。国民兵や戦列兵も彼をねらいながら笑っていた。彼は地に伏し、また立ち上がり、戸口のすみに隠れ、また飛び出し、姿を隠し、また現われ、逃げ出し、また戻ってき、嘲弄《ちょうろう》で霰弾《さんだん》に応戦し、しかもその間に弾薬を略奪し、弾薬盒《だんやくごう》を空《から》にしては自分の籠《かご》を満たしていた。暴徒らは懸念のために息をつめ、彼の姿を見送っていた。防寨《ぼうさい》は震えていたが、彼は歌っていた。それはひとりの子供でもなく、ひとりの大人《おとな》でもなく、実に不思議な
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