利だった。
 その煙の下に隠れ、その上身体が小さかったので、彼は敵から見つけられずに街路のかなり先まで進んでゆくことができた。まず七、八個の弾薬盒《だんやくごう》は、大した危険なしに盗んでしまった。
 彼は平たく四つばいになって、籠《かご》を口にくわえ、身をねじまげすべりゆきはい回って、死体から死体へと飛び移り、猿《さる》が胡桃《くるみ》の実をむくように、弾薬盒や弾薬嚢《だんやくのう》を開いて盗んだ。
 防寨の者らは、彼がなおかなり近くにいたにかかわらず、敵の注意をひくことを恐れて、声を立てて呼び戻すことをしかねた。
 ある上等兵の死体に、彼は火薬筒を見つけた。
「喉《のど》のかわきにもってこいだ。」と彼は言いながら、それをポケットに入れた。
 しだいに先へ進んでいって、彼はついに向こうから硝煙が見透せるぐらいの所まで達した。
 それで、舗石《しきいし》の防壁の後ろに潜んで並んでる狙撃《そげき》戦列兵や街路の角《かど》に集まってる狙撃国民兵らは、煙の中に何かが動いてるのを突然見いだした。
 ある標石の傍《そば》に横たわってる軍曹の弾薬をガヴローシュが奪っている時、弾が一発飛んできてその
前へ 次へ
全618ページ中96ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング