《もや》をとおして、砲手らの三分の二は砲車の下にたおれてるのがかすかに見られた。残ってる者らはいかめしく落ち着き払って、なお砲撃に従事していたが、発射はよほどゆるやかになった。
「うまくいった。成功だ。」とボシュエはアンジョーラに言った。
アンジョーラは頭を振って答えた。
「まだ十五、六分間しなければ成功とはいえない。しかもそうすれば、もう防寨には十個ばかりの弾薬しか残らない。」
その言葉をガヴローシュが耳にしたらしかった。
十五 外に出たるガヴローシュ
クールフェーラックは防寨のすぐ下の外部に、弾丸の降り注ぐ街路に、ある者の姿を突然見いだした。
ガヴローシュが、居酒屋の中から壜《びん》を入れる籠《かご》を取り、防寨《ぼうさい》の切れ目から外に出て、角面堡《かくめんほう》の裾《すそ》で殺された国民兵らの弾薬盒《だんやくごう》から、中にいっぱいつまってる弾薬を取っては、平然としてそれを籠の中に入れてるのだった。
「そこで何をしてるんだ!」とクールフェーラックは言った。
ガヴロシーュは顔を上げた。
「籠をいっぱいにしてるんだ。」
「霰弾《さんだん》が見えないのか。」
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