ゅうだん》を発射していた。
 榴弾を発射していた砲は、少し高く照準されて、防寨の頂の先端に弾が落下するようにねらわれたので、そこを破壊して、霰弾の破裂するがような舗石《しきいし》の破片を暴徒らの上に浴びせた。
 かかる砲撃の目的は、角面堡の頂から戦士らを追いしりぞけ、その内部に集まらせようとするにあった。言い換えれば、突撃の準備だった。
 一度戦士らが、榴弾のために防寨の上から追われ霰弾のために居酒屋の窓から追わるれば、襲撃隊はねらわれることもなくまたおそらく気づかれることもなく、その街路にはいり込むことができ、前夜のようににわかに角面堡をよじ上ることもでき、不意を襲って占領し得るかも知れなかった。
「どうしてもあの邪魔な砲門を少し沈黙させなければいけない。」とアンジジョーラは言った。そして叫んだ。「砲手を射撃しろ!」
 一同は待ち構えていた。長く沈黙を守っていた防寨《ぼうさい》は、おどり立って火蓋《ひぶた》を切った。七、八回の一斉射撃《いっせいしゃげき》は、一種の憤激と喜悦とをもって相次いで行なわれた。街路は濃い硝煙《しょうえん》に満たされた。そして数分間の後、炎の線に貫かれたその靄
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