を消してしまうまで、その攻撃を延ばした。軍隊は沸き立った各街路に突進し、あるいは用心して徐々に進み、あるいは一挙に襲撃しながら、右に左に、大なるものは掃蕩《そうとう》し、小なるものは探査した。兵士らは銃を発射する人家の扉《とびら》を打ち破った。同時に騎兵も活動を始めて、大通りの群集を駆け散らした。そしてこの鎮圧はかなりの騒擾《そうじょう》を起こし、軍隊と人民との衝突に特有な騒々しい響きを立てた。砲火と銃火との響きの間々にアンジョーラが耳にしたのは、その騒ぎの音であった。その上彼は担架にのせられた負傷者らが通るのを街路の先端に認めて、クールフェーラックに言った、「あの負傷者らはわが党の者ではない。」
 しかしその希望は長く続かなかった。光明は間もなく消えてしまった。三十分とたたないうちに、空中に漂ってたものは消散しつくした。あたかも雷を伴わない電火のようなものだった。孤立しながら固執する者らの上に人民の冷淡さが投げかける鉛のような重い一種の外套《がいとう》を、暴徒らは再び身に感じた。
 漠然《ばくぜん》と輪郭だけができかかってきたらしい一般の運動は、早くも失敗に終わってしまった。今や陸軍
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