ーニュ将軍が先頭に立って進んでいた一個連隊の胸甲兵が、まったく不意の激しい銃火にむかえ打たれた。プランシュ・ミブレー街では、屋根の上から軍隊を目がけて、古い皿の破片や什器《じゅうき》などが投げられた。それははなはだよくない徴候で、スールト元帥にその事が報告された時、昔ナポレオンの参謀だった彼もさすがに考え込んで、サラゴサの攻囲のおりシューシェが言った言葉を思い起こした、「婆さんどもまでが[#「婆さんどもまでが」に傍点]溲瓶《しびん》のものをわれわれの頭上にぶちまけるようになっては[#「のものをわれわれの頭上にぶちまけるようになっては」に傍点]、とてもだめだ[#「とてもだめだ」に傍点]。」
 暴動は一局部のことと思われていた際に突然現われてきた各所の徴候、優勢になってきた憤怒の熱、パリー郭外と呼ばるる莫大《ばくだい》な燃料の堆積の上にあちらこちら飛び移る火の粉、それらのものは軍隊の指揮官らに不安の念を与えた。彼らは急いでそれらの火災の始まりをもみ消そうとつとめた。そしてモーブュエやシャンヴルリーやサン・メーリーなどの各|防寨《ぼうさい》は、最後に残して一挙に粉砕せんがために、各所の火の粉
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