大臣の注意と諸将軍の戦略とは、なお残ってる三、四の防寨の上に集中されることになった。
太陽は地平線の上に上ってきた。
ひとりの暴徒はアンジョーラを呼びかけた。
「われわれは腹がすいてる、実際こんなふうに何にも食わずに死ぬのかね。」
自分の狭間《はざま》の所になお肱《ひじ》をついていたアンジョーラは、街路の先端から目を離さずに、頭を動かしてうなずいた。
十四 アンジョーラの情婦の名
クールフェーラックはアンジョーラの傍《そば》の舗石《しきいし》の上にすわって、大砲をなお罵倒《ばとう》し続けていた。霰弾《さんだん》と呼ばるる爆発の暗雲が恐ろしい響きを立てて通過するたびごとに、彼は冷笑の声を上げてそれを迎えた。
「喉《のど》を痛めるぞ、ばかな古狸《ふるだぬき》めが。気の毒だが、大声を出したってだめだ。まったく、雷鳴《かみなり》とは聞こえないや、咳《せき》くらいにしか思われない。」
そして周囲の者は笑い出した。
クールフェーラックとボシュエは、危険が増すとともにますます勇敢な上きげんさになって、スカロン夫人のように、冗談をもって食物の代用とし、また葡萄酒《ぶどうしゅ》
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