もない限りは、防寨《ぼうさい》はついに粉砕さるるにきまっている。しかし一度革命となれば、すべてが立ち上がり、街路の舗石《しきいし》は沸き立ち、人民の角面堡《かくめんほう》は至る所に築かれ、パリーはおごそかに震い立ち、天意的なもの[#「天意的なもの」に傍点]が現われきたり、八月十日([#ここから割り注]一七九二年[#ここで割り注終わり])は空中に漂い、七月二十九日([#ここから割り注]一八三〇年[#ここで割り注終わり])は空中に漂い、驚くべき光が現われ、うち開いてる武力の顎《おとがい》はたじろぎ、獅子《しし》のごとき軍隊は、予言者フランスがつっ立って泰然と構えているのを、眼前に見るに至るのである。

     十三 過ぎゆく光

 一つの防寨を守る混沌《こんとん》たる感情と情熱とのうちには、あらゆるものがこもっている。勇気があり、青春があり、名誉の意気があり、熱誠があり、理想があり、確信があり、賭博者《とばくしゃ》の熱があり、また特に間歇的《かんけつてき》な希望がある。
 この一時の希望の漠然《ばくぜん》たる震えの一つが、最も意外な時に、シャンヴルリーの防寨を突然|過《よ》ぎった。
「耳
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