腰掛け、上を下への乱雑な堆積、それから乞食《こじき》さえも拒むような無数のがらくた、そのうちには狂猛と虚無とが同時にこもっていた。民衆のぼろ屑《くず》、木材と鉄と青銅と石とのぼろ屑であって、サン・タントアーヌ郭外が巨大な箒の一掃きでそれらを戸口に押しやり、その悲惨をもって防寨となしたかのようだった。首切り盤のような鉄塊、引きち切られた鎖、絞首台の柱のような角材、物の破片の中に横倒しに置かれてる車輪、それらのものはこの無政府の堂宇に、民衆が受けてきた古い苛責《かしゃく》の陰惨な相貌《そうぼう》を交じえさしていた。実にこのサン・タントアーヌの防寨は、すべてのものを武器としていた。内乱が社会の頭に投げつけ得るすべてのものは、そこに姿を現わしていた。それは一つの戦いではなくて、憤怒の発作だった。その角面堡をまもってるカラビン銃は、中に交じってた数個の霰弾銃《さんだんじゅう》とともに、瀬戸物の破片や、骨片や、上衣のボタンや、また銅がはいってるために有害な弾となる寝室のテーブルの足についてる小車輪までも、やたらに発射した。防寨全部がまったく狂乱していた。名状し難い騒擾《そうじょう》の声を雲の中まで
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