しかも寛厚なるまだ青二才にすぎないこの青年は、そもそもいかなる人物だろうか、人の名前を知っており、その名前をみな知っており、しかも財布の口を開いてくれ、裁判官のように悪人をいじめつけ、しかも欺かれた愚人のように金を出してくれるとは?
読者の記憶するとおり、テナルディエはかつてマリユスの隣の室に住んでいたけれども、彼を見たことは一度もなかった。そういうことは、パリーでは別に珍しくはない。彼は以前に自分の娘たちから、マリユスというごく貧しい青年が、同じ家に住んでるとぼんやり聞かされた。そしてその顔も知らないで、読者が知るとおりの手紙を彼に書いた。そのマリユスとこのポンメルシー男爵とを結びつけることは、彼の頭の中ではとうていできなかった。
ポンメルシーという名前については、読者の記憶するとおり、彼はワーテルローの戦場で、ただその終わりの三字([#ここから割り注]訳者注 メルシとはまたありがとうという意味である[#ここで割り注終わり])と解釈しただけであって、ただ一つの感謝の言葉としてあまり注意も払わなかったのは、無理ならぬことである。
ところで彼は、娘のアゼルマを使って、二月十六日の婚
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