ながめた。ふたりの間には一種の火花があった。そこに人がいようと少しもかまわなかった。
「僕はお前を愛するよ!」とマリユスは言った。
「私はあなたを慕ってよ!」とコゼットは言った。
そしてふたりはどうすることもできないでしか[#「しか」に傍点]と抱き合った。
「もうこれで、私がここにいてもいいでしょう。」とコゼットは勝ち誇ったようにちょっと口をとがらして化粧着の襞《ひだ》をなおしながら言った。
「それはいけない。」とマリユスは哀願するような調子で答えた。「僕たちはまだきまりをつけなければならないことがあるから。」
「まだいけないの?」
マリユスは厳格な口調で言った。
「コゼット、どうしてもいけないのだ。」
「ああ、あなたは太い声をなさるのね。いいわ、行ってしまいます。お父様も私を助けて下さらないのね。お父様もあなたも、ふたりともあまり圧制です。お祖父様《じいさま》に言いつけてあげます。私がまたじきに戻ってきてつまらないことをするとお思いなすっては、まちがいですよ。私だって矜《ほこ》りは持っています。こんどはあなた方《がた》の方からいらっしゃるがいいわ。私がいなけりゃあなた方の方で退屈
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