おぞましい宿命を、未来のうちに垣間《かいま》見た。
「すべてを言って下さい、すべてを言って下さい!」と彼は叫んだ。「あなたはコゼットの父ですね。」
そして彼は言い難い恐怖に駆られて二、三歩後ろに退《さが》った。
ジャン・ヴァルジャンは天井まで伸び上がるかと思われるようなおごそかな態度で頭を上げた。
「今あなたは私の言うことを信じて下さらなければいけません。そして、私のような者の誓言は法廷からは受け入れられませんけれども……。」
そこで彼はちょっと口をつぐんだ。それから一種の崇厳陰惨な力をもって、ゆっくりと一語一語力を入れて言い添えた。
「……私の言葉を信じて下さい。コゼットの父は私ですと! 神に誓って否と言います。ポンメルシー男爵、私はファヴロールの田舎者《いなかもの》です。樹木の枝切りをして生活していた者です。名前もフォーシュルヴァンではなく、ジャン・ヴァルジャンと言います。コゼットとは何の縁故もありません。御安心下さい。」
マリユスはつぶやいた。
「だれが証明してくれましょう……。」
「私がです。私がそう言う以上は。」
マリユスは相手をながめた。相手は沈痛で落ち着いていた
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