、ないであろうか。
ついにジャン・ヴァルジャンは、喪心の極、平静のうちにはいった。
彼は計画し、夢想し、光明と陰影との神秘な秤皿《はかりざら》の高低をながめた。
光り輝くふたりの若者に自分の刑罰を添加すること、もしくは、救う道なき自分の陥没を自分ひとりに止めること。前者はコゼットを犠牲にすることであり、後者は自己を犠牲にすることであった。
彼はいかなる解決をなしたか。いかなる決心を定めたか。宿命の森厳なる尋問に対して彼が心のうちでなした最後の確答は、何であったか。いかなる扉《とびら》を開こうと彼は決心したか。生命のいかなる方面の扉を、彼はいよいよ閉鎖しようと決心したか。四方をとりまいてる測り知られぬ断崖《だんがい》のうち、いずれを彼は選んだか。いかなる絶端を彼は甘受したか。それらの深淵《しんえん》のいずれに向かって、彼は首肯したか?
彼の昏迷的《こんめいてき》な夢想は終夜続いた。
彼はそのまま同じ態度で、寝床の上に身をかがめ、巨大な運命の下に平伏し、おそらくは痛ましくも押しつぶされ、十字架につけられた後|俯向《うつむ》けに投げ出された者のように、拳《こぶし》を握りしめ両腕を
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