実に異常な争闘であった。ある時は足がすべり、ある時は足下の地面がくずれた。善へ進まんとあせる本心が、彼をつかみ彼を圧倒したことも、幾度であったろう。一歩も譲らない真理が、彼の胸を膝《ひざ》の下に押さえつけたことも、幾度であったろう。彼が光明から投げ倒されてその宥恕《ゆうじょ》を願ったことも、幾度であったろう。彼のうちにまた彼の上に司教からともされた仮借なき光明が、盲目ならんと欲する彼を強《し》いて眩惑《げんわく》さしたことも、幾度であったろう。巖《いわお》に身をささえ、詭弁《きべん》によりかかり、塵にまみれ、あるいは本心を自分の下に打ち倒し、あるいは本心から打ち倒されながら、争闘のうちに彼が立ち直ったことも、幾度であったろう。曖昧《あいまい》な理屈を立てた後、利己心の一見道理あるらしい狡猾《こうかつ》な論法を用いた後、憤った本心から「奸佞《かんねい》の徒、みじめなる奴、」と耳に叫ばれるのを彼が聞いたのも、幾度であったろう。頑迷《がんめい》なる彼の思想が、瞭然《りょうぜん》たる義務の下に痙攣的《けいれんてき》なうめきを発したのも、幾度であったろう。神に対する抗争。暗い汗。多くの秘密な傷
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