たり、思いを走《は》せたり、憧《あこが》れをいだいたりしたことがある。わしもやはり、月のように輝いた魂を自分のものにしたことがある。恋愛は六千歳の子供だ。恋愛は長い白髯《はくぜん》をつけてもいい者なんだ。メトセラ([#ここから割り注]訳者注 ノアの祖父にて九百六十九年生きたと言わるる人物[#ここで割り注終わり])もキューピッドに比ぶれば鼻たらし小僧にすぎない。六十世紀も前から男女は互いに愛しながら困難をきりぬけてきた。狡猾《こうかつ》な悪魔は人間をきらい始めたが、いっそう狡猾な人間は女を愛し始めた。そうして、悪魔から受ける災いよりもいっそう多くのいいことをした。この妙策は、地上の楽園の初めから見いだされていたのである。この発明は古くからのものだが、いつまでも新しいものである。それを利用しなければいけない。フィレモンとボーシスになるまでは、まずダフニスとクロエになるがいい([#ここから割り注]訳者注 前者は近代のオペラの中のふたりの恋人、後者はギリシャの物語の中のふたりの恋人[#ここで割り注終わり])。お前たちがふたりいっしょにいさえすれば、何も不足なものはなく、コゼットはマリユスにとっ
前へ 次へ
全618ページ中436ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング