ンジョーラの沈痛をきわめた態度があった。
 アンジョーラのうちには革命の精神が充満していた。けれども、いかに絶対なるものにもなお欠けたところがあるとおり、彼にも不完全なところがあった。あまりにサン・ジュスト的なところが多くて、アナカルシス・クローツ的なところが充分でなかった([#ここから割り注]訳者注 両者共に大革命時代の人[#ここで割り注終わり])。けれど彼の精神は、ABCの友の結社において、コンブフェールの思想からある影響を受けていた。最近になって、彼はしだいに独断の狭い形式から脱し、広汎《こうはん》なる進歩を目ざすようになり、偉大なるフランスの共和をして広大なる人類の共和たらしむることを、最後の壮大な革新として受け入れるに至った。ただ直接現在の方法としては、激烈な情況にあるために、また激烈な処置を欲していた。この点においては彼は終始一貫していた。九三年([#ここから割り注]一七九三年[#ここで割り注終わり])という一語につくされる恐るべき叙事詩的一派に、彼はなお止まっていた。
 アンジョーラはカラビン銃の銃口に片肱《かたひじ》をついて舗石《しきいし》の段の上に立っていた。彼は考え
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