」
「爺さんなのが気になるの。若い娘でもないくせにね。」
「一番先の馬車に乗ってる。」
「だから?」
「花嫁の馬車に乗ってる。」
「それで?」
「花嫁の親に違いねえ。」
「それがどうしたのさ。」
「花嫁の親だというんだ。」
「そうさね、ほかに親はいやしない。」
「まあ聞けよ。」
「なんだね?」
「俺《おれ》は仮面をつけてでなけりゃ外にはあまり出られねえ。こうしてりゃ、顔が隠れてるからだれにもわからねえ。だが明日《あした》になったらもう仮面がなくなる。明日は灰の水曜日([#ここから割り注]四旬節第一日[#ここで割り注終わり])だ。うっかりすりゃ捕《つか》まっちまう。また穴の中に戻らなきゃあならねえ。ところがお前は自由な身体だ。」
「あまり自由でもないよ。」
「でも俺よりは自由だ。」
「だからどうなのよ?」
「あの婚礼がどこへ行くか調べてもらいたいんだ。」
「どこへ行くか?」
「そうだ。」
「それはわかってるよ。」
「なに、どこへ行くんだ?」
「カドラン・ブルーへさ。」
「なにそっちの方面じゃねえ。」
「それじゃ、ラーペへさ。」
「それともほかの方かも知れねえ。」
「それは向こうの勝手さ。
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