る。」
「爺さんを知ってるったって、それがなにになるんだね。」
「それはわからねえ。だが時には何かになるさ。」
「あたしは爺《じい》さんなんかあまり気には止めないよ。」
「俺はあいつを知ってる!」
「勝手に知るがいいよ。」
「どうして婚礼の中に出てきたのかな。」
「よけいなことだよ。」
「あの婚礼はどこから出たのかな。」
「あたしが知るもんかね。」
「まあ聞けよ。」
「なに?」
「ちょっと頼まれてくれ。」
「なにを?」
「馬車からおりてあの婚礼の跡をつけるんだ。」
「どうして?」
「どこへ行くのか、そしてどういう婚礼か、少し知りてえんだ。急いでおりて駆けていけ、お前は若いから。」
「この馬車を離れることはできないよ。」
「なぜだ。」
「雇われているんだからさ。」
「畜生!」
「はすっぱ娘になって警視庁から一日分の給金をもらってるじゃないかね。」
「なるほど。」
「もし馬車から離れて、警視に見つかろうもんなら、すぐにつかまってしまう。よく知ってるくせに。」
「うん、知ってるよ。」
「今日は、あたしはお上《かみ》から買われた身だよ。」
「それはそうだが、どうもあの爺《じい》さんが気になる。
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