像していただきたい[#ここで割り注終わり])
「なあ、おい。」
「なによ、お父《とう》さん。」
「あの爺さんが見えるか。」
「どの爺さん?」
「向こうの、婚礼馬車の一番先のに乗ってる、こちら側のさ。」
「黒い布で腕をつってる方の。」
「そうだ。」
「それがどうしたの。」
「どうも確かに見覚えがある。」
「そう。」
「この首を賭《か》けてもいい、この命を賭けてもいい、俺《おれ》は確かにあのパンタン人([#ここから割り注]パリー人[#ここで割り注終わり])を知ってる。」
「なるほど今日は、パリーはパンタンだね。」([#ここから割り注]訳者注 パンタンとは小さな操り人形のことにて仮面道化をさすのであるが、また下層の俗語ではパリーのことをパンタンという[#ここで割り注終わり])
「少しかがんだらお前に花嫁が見えやしないか。」
「見えない。」
「花婿の方は?」
「あの馬車には花婿はいないよ。」
「なあに!」
「いないよ、もひとりの爺《じい》さんが花婿なら知らないが。」
「とにかくよくかがんで花嫁を見てくれ。」
「見えやしないよ。」
「じゃいいさ。だが手をどうかしてるあの爺さんを、俺は確かに知って
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