、着物を着換えることもできなかったのよ。大変な服装《なり》をしてるでしょう。しわくちゃな襟飾《えりかざ》りをしてるところをごらんなすって、お家の方は何とおっしゃるでしょうね。さあ、あなたも少し話してちょうだい。私にばかり口をきかしていらっしゃるのね。私たちはずっとオンム・アルメ街にいたのよ。あなたの肩の傷はさぞひどかったんでしょうね。手がはいるくらいだったそうですってね。それに鋏《はさみ》で肉を切り取ったんですってね。ほんとに恐ろしい。私は泣いてばかりいたので、目を悪くしてしまったの。どうしてあんなに苦しんだかと思うとおかしいほどよ。お祖父様《じいさま》は御親切そうな方ね。静かにしていらっしゃいな、肱で起き上がってはいけないわ。用心なさらないと、障《さわ》るでしょう。ああ私ほんとに仕合わせだこと! 悪いことももう済んでしまったのね。私どうかしたのかしら。いろんなことをお話したいと思ったのに、すっかり忘れてしまった。やっぱりあなたは私を愛して下さるの? 私たちはオンム・アルメ街に住んでるのよ。庭はないの。私はいつも綿撒糸《めんざんし》ばかりこしらえていたわ。ねえあなた、ごらんなさい、指に
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