た。彼はそれに従っていった。それからそれを見失った。時は過ぎていった。彼は森の中に深くはいり込んだ。そして一種の高所に達した。ギーユリーの歌の節《ふし》を口笛で吹きながら遠くの小道を通ってゆく朝の猟人をひとり見て、彼は木へ登ってみようと思いついた。年は取っていたがなかなか敏捷《びんしょう》だった。ちょうどそこには、チチルス([#ここから割り注]訳者注 ※[#「木+無」、第3水準1−86−12]の木の下に横たわってる瞑想的な羊飼い――ヴィルギリウスの詩[#ここで割り注終わり])とブーラトリュエルとにふさわしい※[#「木+無」、第3水準1−86−12]《ぶな》の大木が一本あった。ブーラトリュエルはできるだけ高くその※[#「木+無」、第3水準1−86−12]に登った。
それはいい思いつきだった。木立ちが入り組んで森が深くなってる寂然《せきぜん》たる方面をながめ回すと、突然男の姿が見えた。
しかし男は、見えたかと思うまにまた隠れてしまった。
男は大木の茂みにおおい隠されてるかなり向こうの開けた場所へ、はいり込んだ、というよりもむしろすべり込んだのである。しかしブーラトリュエルはその開けた
前へ
次へ
全618ページ中338ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング