がえってきた。マドレーヌ氏の姿は、ジャン・ヴァルジャンの背後に再び現われ、その二つの姿が重なり合って一つとなり、崇敬すべきものとなった。恐ろしい何ものかが、囚人に対する賛嘆の情が、魂のうちに沁《し》み通ってくるのをジャヴェルは感じた。徒刑囚に対する尊敬、そういうことがあり得るであろうか。彼は慄然《りつぜん》として、身をささえることができなかった。いかにもだえても、内心の審判のうちにおいて、その悪漢の荘厳さを自白せざるを得なかった。それは実にたえ難いことであった。
 慈善を施す悪人、あわれみの念が強く、やさしく、救助を事とし、寛大で、悪に報ゆるに善をもってし、憎悪《ぞうお》に報ゆるに許容をもってし、復讐《ふくしゅう》よりも憐愍《れんびん》を取り、敵を滅ぼすよりも身を滅ぼすことを好み、おのれを打った者を救い、徳の高所にあってひざまずき、人間よりも天使に近い徒刑囚、そういう怪物が世に存在することを、ジャヴェルは自認するの余儀なきに至った。
 事情はそのまま存続するを得なかった。
 あえて力説するが、あの怪物に、その賤《いや》しむべき天使に、その嫌悪《けんお》すべき英雄に、彼を茫然《ぼうぜん》
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