は橋の欄干に両肱《りょうひじ》をもたせ、頤《あご》を両手に埋め、濃い口髭《くちひげ》を爪先《つまきき》で機械的にひねりながら、考え込んだ。
一つの珍事が、一つの革命が、一つの破滅が、彼の心の底に起こったのである。深く反省すべき問題がそこにあった。
ジャヴェルは恐ろしい苦悶をいだいていた。
数時間前から既にジャヴェルの考えは単純でなくなっていた。彼の心は乱されていた。その一徹な澄み切った頭脳は、透明さを失っていた。その水晶のごとき澄明さのうちには、一片の雲がかけていた。ジャヴェルは自分の本心のうちに義務が二分したのを感じ、自らそれをごまかすことができなかった。セーヌ川の汀《みぎわ》で、意外にもジャン・ヴァルジャンに会った時、彼のうちには、獲物を再びつかんだ狼《おおかみ》のごときものと主人に再びめぐり会った犬のごときものとがあった。
彼は自分の前に二つの道を見た。両方とも同じようにまっすぐであったが、とにかく二つであった。生涯にただ一本の直線しか知らなかった彼は、それにおびえた。しかも痛心のきわみには、その二つの道は互いに相入れないものだった。二つの直線は互いに排し合っていた。いず
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