霊魂となるのか蛙《かえる》となるのかを自ら知らない。
 墳墓はどこにあっても凄惨《せいさん》なものであるが、下水道の中では醜悪なものとなる。
 崩壊孔の深さは一定でなく、またその長さや密度も場所によって異なり、地層の粗悪さに比例する。時とすると、三、四尺の深さのこともあれば、八尺から十尺にもおよぶことがあり、あるいは底がわからぬこともある。その泥土はほとんど固くなってる所もあれば、ほとんど水のように柔らかい所もある。リュニエールの崩壊孔では、ひとりの人が没するに一日くらいかかるが、フェリポーの泥濘では五分間くらいですむ。泥土の密度いかんに従ってその支持力にも多少がある。大人が没しても子供なら助かる所がある。安全の第一要件は、あらゆる荷物を捨ててしまうことにある。足下の地面が撓《しな》うのを感ずる下水夫らは、いつもまず第一に、その道具袋や負《お》い籠《かご》や泥桶《どろおけ》を投げ捨てるのであった。
 崩壊孔のできる原因は種々である。地質の脆弱《ぜいじゃく》、人の達し得ないほど深い所に起こる地すべり、夏の豪雨、絶え間ない冬の雨、長く続く霖雨《りんう》など。また時とすると、泥灰岩や砂質の地
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