をして、フロック型の官服をつけ頤《あご》の所までボタンをはめているのが、見て取られたろう。
 読者がもし更に近くからふたりをながめたならば、彼らが何者であるかをおそらく知り得たろう。
 第二の男の目的は何であったか?
 おそらく第一の者にもっと暖かい着物を着せてやろうというのに違いなかった。
 国家の服をつけてる者がぼろをまとってる男を追跡するのは、その男にもやはり国家の服を着せんがためにである。ただ問題はその色にある。青い服を着るのは光栄であり、赤い服を着るのは不愉快である。
 世には下層にも緋《ひ》の色がある。([#ここから割り注]訳者注 上層に皇帝の緋衣のあるごとくに[#ここで割り注終わり])
 第一の男がのがれんと欲していたのは、たぶんこの種の不愉快と緋の色とであったろう。
 第二の男が第一の男を先に歩かしてなお捕えないでいるのは、その様子から推測すると、彼をある著名な集合所にはいり込ませ、一群のいい獲物の所まで案内させようというつもりらしかった。その巧みなやり方を「尾行」という。
 右の推測をなお確かならしむることには、ボタンをはめてる男は川岸通りを通りかかった空《から》の辻
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