たとえば、食に飢えた者が獲物を追っかけながら、それをわざと様子に現わすまいとしてるのと同じだった。獲物の方は狡猾《こうかつ》であって、巧みに身をまもっていた。
追われてる鼬《いたち》と追っかけてる犬との間の適宜な割合が、ちょうど両者の間に保たれていた。のがれようとしてる男は、体も小さく顔もやせていた。捕えようとしてる男は、背の高い偉丈夫で、いかめしい様子をしており、腕力もすぐれてるらしかった。
第一の男は、自分の方が弱いのを知って、第二の男を避けようとしていた。しかしおのずから一生懸命の様子が現われていた。彼をよく見たならば、逃走せんとする痛ましい敵対心と恐れに交じった虚勢とが、その目の中に読み取られたであろう。
川岸の汀《みぎわ》には人影もなかった。通りすがりの者もなかった。所々につないである運送船には、船頭もいず人夫もいなかった。
向こう岸からでなければふたりの様子をたやすく見て取ることはできなかった。そしてそれだけの距離を置いてながめる時には、先に行く男は、毛を逆立てぼろをまとい怪しい姿をして、ぼろぼろの仕事服の下に不安らしく震えており、後ろの男は、古風な役人ふうな姿
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