って傾斜をおりてゆけば、十五分とかからないうちに、ポン・トー・シャンジュとポン・ヌーフとの間のセーヌ川のどの出口かに達するだろう。すなわちパリーの最も繁華な所にま昼間身をさらすことになる。おそらく四つ辻《つじ》の人だかりに出っくわすだろう。血に染まった二人の男が足下の地面から出てくるのを見ると通行人の驚きはどんなだろう。巡査がやってき、近くの衛兵らが武器を取ってやってくる。地上に出るか出ないうちに取り押さえられる。それよりもむしろ、この迷宮の中にはいり込み、暗黒に身を託し、天運のままに出口を求めた方が上策である。
で彼は傾斜の上の方へと右に曲がった。
隧道《すいどう》の角《かど》を曲がると、穴の口からさしていた遠い光は消えてしまい、暗黒の幕が再びたれてきて、彼はまた目が見えなくなった。それでも彼は前進をやめずに、できるだけ早く進んだ。マリユスの両腕は彼の首のまわりにからみ、両足は背後にたれていた。その両腕を彼は一方の手で押さえ、他の手で壁を伝った。マリユスの頬《ほお》は彼の頬に接し、血のためにそのままこびりついた。彼はマリユスの生温《なまあたたか》い血が自分の上に流れかかって、服の
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