合わせだ。奴《やつ》が起きていたら、なかなかこのまま放っておきはすまい。」種々不平の声をもらす者もあったが、アンジョーラはその十五本の壜に最後の断案を下して、だれの手にも触れさせないで神聖な物としておくために、マブーフ老人が横たわってるテーブルの下に並べさした。
 午前二時ごろ人数を調べてみると、なお三十七人いた。
 夜は明けかかってきた。舗石《しきいし》の箱の中に再びともしていた炬火《たいまつ》を、人々は消してしまった。街路から切り取った小さな中庭のような防寨の内部は、やみに満たされて、払暁《ふつぎょう》の荒涼たる微明のうちに、こわれた船の甲板に似寄っていた。行ききする戦士の姿は、まっ黒な影のように動いていた。そしてその恐るべき闇《やみ》の巣窟《そうくつ》の上には、黙々たる幾階もの人家が青白く浮き出していた。更に上の方には、煙筒がほの白く立っていた。空は白とも青ともつかない微妙な色にぼかされていた。小鳥は楽しい声を立てながら空を飛んでいた。防寨《ぼうさい》の背景をなしている高い人家は、東に向いていたので、屋根の上に薔薇色《ばらいろ》の反映が見えていた。その四階の軒窓には、殺された門番
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