身を隠していた。百年前には、夜中短剣がそこから現われてきて人を刺し、また掏摸《すり》は身が危うくなるとそこに潜み込んだ。森に洞穴《どうけつ》のあるごとく、パリーには下水道があった。ゴール語のいわゆるピカルリアという無籍者らは、クール・デ・ミラクル一郭の出城として下水道に居を構え、夕方になると寝所にはいるように、せせら笑った獰猛《どうもう》な様子でモーブュエの大水門の下に戻っていった。
ヴィード・グーセ袋町([#ここから割り注]巾着切袋町[#ここで割り注終わり])やクープ・ゴルジュ街([#ここから割り注]首切り街[#ここで割り注終わり])などを毎日の仕事場としてる者どもが、シュマン・ヴェールの小橋やユルポアの陋屋《ろうおく》を夜の住居とするのは、至って当然なことだった。そのために無数の口碑が伝わっている。あらゆる種類の幽鬼がその長い寂しい地郭に住んでいる。至る所に腐爛《ふらん》と悪気とがある。中にいるヴィヨンと外のラブレーと([#ここから割り注]訳者注 盗賊の仲間にはいったことのある十五世紀の大詩人、および愉快な風刺家であった十六世紀の文豪[#ここで割り注終わり])が互いに話し合う風窓
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