《ゆか》やテーブルの上に散らかってる火薬を集め、弾丸を鋳、弾薬をこしらえ、綿撒糸《めんざんし》を裂き、落ち散った武器を分配し、角面堡の内部を清め、破片を拾いのけ、死体を運んだ。
 死体はなお手中にあるモンデトゥール小路のうちに積み重ねられた。そこの舗石はその後長い間まっかになっていた。戦死者のうちには、四人の郊外国民兵があった。アンジョーラは彼らの軍服をわきに取って置かした。
 アンジョーラは二時間の睡眠を一同に勧めた。彼の勧告は命令に等しかった。けれどもその命に応じて眠った者は、わずか三、四人に過ぎなかった。フイイーはその二時間のすきを利用して、居酒屋と向かい合った壁の上に次のような銘を刻み込んだ。
 民衆万歳[#「民衆万歳」に傍点]!
 その四文字は、素石の中に釘《くぎ》で彫りつけたものであって、一八四八年にもなお壁の上に明らかに残っていた。
 三人の女どもは、その夜間の猶予の間にまったく姿を隠してしまった。ために暴徒らはいっそう自由な気持ちになることができた。
 彼女らはとやかくして、どこか近くの人家に投げ込んだのだった。
 負傷者らの大部分は、なお戦うことができ、またそれを欲し
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