、墓のようなありさまになる。反徒はその戸の前で、死の苦しみを受ける。霰弾《さんだん》と抜き身のサーベルとが近づいてくるのを見る。叫んだところで、聞いてる者はあるが助けにきてくれる者はないのがわかっている。そこには他を庇護《ひご》し得る壁もあり、彼らを救い得る人もいる。しかも、壁には聞く耳があるけれども、人には石のような心しかない。
 だれを咎《とが》むるべきであるか?
 何人《なんぴと》をも、そしてまたすべての人を。
 吾人が属するこの不完全な時代を。
 高遠なる理想が、自ら反乱と変化し、哲理上の抗議を武装上の抗議となし、ミネルヴァをパラスとするのは([#ここから割り注]訳者注 ミネルヴァというは詩の神としての名称であり、パラスというは戦の神としての名称であって、同一の女神である[#ここで割り注終わり])、常に自己を危険にさらしてのことである。忍耐しきれずに暴動となる理想は、いかなる目に会うかを自らよく知っている。多くは時機が早すぎるものである。それで自ら運命に忍従して、勝利の代わりに破滅を勇ましく甘受する。拒絶を浴びせる者らを恨むことなく、かえって彼らを弁護しながら彼らに奉仕する。寛
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