の先頭にすぎなかった。そしてその縦隊というのは無論襲撃隊であった。防寨《ぼうさい》を破壊する任務を帯びてる消防工兵は常に、防寨を乗り越える任務を帯びてる兵士の先に立つべきものである。
 一八二二年クレルモン・トンネール氏が「首繩《くびなわ》の一ひねり」と呼んだ危急の瞬間に、人々はまさしく際会していたのである。
 アンジョーラの命令は直ちにそのとおり実行された。かく命令が急速に正確に行なわれるのは船と防寨とに限ることで、両方とも脱走することのできない唯一の戦場である。一分間とたたないうちに、アンジョーラがコラント亭の入り口に積ましておいた舗石の三分の二は、二階の屋根裏に運ばれ、次の一分間が過ぎないうちに、それらの舗石は巧みに積み重ねられて、二階の窓や屋根裏の軒窓の半ばをふさいだ。主任建造者たるフイイーの考案によって巧みに明けられた数個の間隙《かんげき》からは、銃身が差し出されるようになっていた。かく窓を固めることは、霰弾《さんだん》の発射がやんでいたのでことに容易だった。が今や二門の砲は、襲撃に便利な穴を、あるいはでき得べくんば一つの割れ目を、そこに作らんがために、障壁の中央めがけて榴弾
前へ 次へ
全618ページ中123ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング