に自ら気づかなかった。
クールフェーラックは自分の首飾りを解いて、マリユスの額を結わえてやった。
人々はマブーフと同じテーブルの上にガヴローシュを横たえ、二つの死体の上に黒い肩掛けをひろげた。それは老人と子供とをおおうに足りた。
コンブフェールは持ち帰った籠《かご》の弾薬を皆に分配した。
各人に十五発分ずつあった。
ジャン・ヴァルジャンはやはり標石の上に腰掛けたままじっとしていた。
コンブフェールが十五発の弾薬を差し出した時、彼は頭を振った。
「まったく珍しい変人だ。」とコンブフェールは低い声でアンジョーラに言った。「この防寨《ぼうさい》にいて戦おうともしない。」
「それでも防寨を守ってはいる。」とアンジョーラは答えた。
「勇壮の方面にも奇人がいるわけだな。」とコンブフェールは言った。
それを聞いたクールフェーラックも口を出した。
「マブーフ老人とはまた異なった種類の男だ。」
ここにちょっと言っておかなければならないが、防寨は銃弾を浴びせられながら、その内部はほとんど乱されていなかった。こういう種類の戦いの旋風を横切ったことのない者は、その動乱に交じって妙に静穏な瞬間が
前へ
次へ
全618ページ中118ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング