に自ら気づかなかった。
 クールフェーラックは自分の首飾りを解いて、マリユスの額を結わえてやった。
 人々はマブーフと同じテーブルの上にガヴローシュを横たえ、二つの死体の上に黒い肩掛けをひろげた。それは老人と子供とをおおうに足りた。
 コンブフェールは持ち帰った籠《かご》の弾薬を皆に分配した。
 各人に十五発分ずつあった。
 ジャン・ヴァルジャンはやはり標石の上に腰掛けたままじっとしていた。
 コンブフェールが十五発の弾薬を差し出した時、彼は頭を振った。
「まったく珍しい変人だ。」とコンブフェールは低い声でアンジョーラに言った。「この防寨《ぼうさい》にいて戦おうともしない。」
「それでも防寨を守ってはいる。」とアンジョーラは答えた。
「勇壮の方面にも奇人がいるわけだな。」とコンブフェールは言った。
 それを聞いたクールフェーラックも口を出した。
「マブーフ老人とはまた異なった種類の男だ。」
 ここにちょっと言っておかなければならないが、防寨は銃弾を浴びせられながら、その内部はほとんど乱されていなかった。こういう種類の戦いの旋風を横切ったことのない者は、その動乱に交じって妙に静穏な瞬間が
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