と叫ぶのだ。アンジョーラは満足であった。炉は既に熱せられていた。現在その瞬間にも彼は、パリーにひろがっている盟友らの一連の導火線を持っていた。コンブフェールの哲学的な鋭い雄弁、フイイーの世界主義的熱情、クールフェーラックの奇想、バオレルの笑い、ジャン・プルーヴェールの憂鬱《ゆううつ》、ジョリーの学問、ボシュエの譏刺《きし》、それらのものを彼は結合して、方々で同時に発火する電気の火花を脳裏に描き出した。皆が仕事にかかっている。確かに努力相当の結果が見らるるであろう。よろしいかな。そしてそう考えて来ると、グランテールのことが思い出された。「待てよ、」彼は自から言った、「メーヌ市門はほとんど回り道にはならない。リシュフーの家にちょっと立ち寄ってみるかな。グランテールが何をしてるか、どういうふうだか、ひとつ見てやろう。」
ヴォージラール会堂の鐘が一時を報じた時、アンジョーラはリシェフー喫煙所に達した。彼は扉《とびら》を押し開き、中にはいり、腕を組み、後ろから肩にどしりと扉がしまるままにして、テーブルと人と煙草《たばこ》の煙とでいっぱいになってる部屋の中を見渡した。
その靄《もや》の中に一つ
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