の声が起こって、また急にも一つの声にさえぎられていた。それは相手の男と言葉をかわしてるグランテールだった。
グランテールはもひとりの男と向かい合って、糠《ぬか》をまきドミノの札をひろげた聖アンヌ大理石のテーブルの前にすわっていた。彼はその大理石を拳《こぶし》でたたいていた。そしてアンジョーラは次のような対話を聞いた。
「ダブル六。」
「四だ。」
「畜生、もうないや。」
「君は討ち死にだ。二だ。」
「六だ。」
「三だ。」
「一だ。」
「打ち出しは僕だよ。」
「四点。」
「弱ったね。」
「君だよ。」
「大変な失策《しくじり》をしちゃった。」
「なに取り返すさ。」
「十五。」
「それから七。」
「それでは二十二になるわけだね。(考え込んで、)二十二と!」
「君はダブル六に気をつけていなかったんだ。もし僕がそれを初めに打ってたら、あべこべになるところだった。」
「も一度二だ。」
「一だ。」
「一だと! ようし、五だ。」
「僕にはない。」
「打ち出したのは君じゃなかったか。」
「そうだ。」
「空《から》だ。」
「何かあるかな。あああるんだな! (長い沈思。)二だ。」
「一だ。」
「五も一もない
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