烽、助かるものではない。彼は歯車のうちに巻き込まれているのである。――ジャン・ヴァルジャンはほっと助かったような気がした。これで再びコゼットとただ二人きりになるのだった。競争はやんだ。前途はまた開けてきた。彼はただその手紙をポケットの中に隠して置きさえすればよかった。コゼットは「あの男」がどうなったか永久に知らないだろう。「今はただ万事をその成り行きに任せるばかりだ。あの男はとうてい脱《のが》れることはできない。まだ死んでいないにしても、やがて死ぬことは確かだ。何という幸福だろう!」
 それだけのことを心の中で言ってから、彼は陰鬱《いんうつ》になった。
 それから彼はおりていって、門番を起こした。
 一時間ばかりの後、ジャン・ヴァルジャンはすっかり国民兵の服をつけ武装して出かけていった。門番はその近所で、彼の身じたくに必要な品々をすべて手に入れることができたのである。ジャン・ヴァルジャンは弾丸をこめた銃と弾薬のいっぱいはいった弾薬盒《だんやくごう》とを携えていた。彼は市場町の方へ進んでいった。

     四 ガヴローシュの熱狂

 そのうちに、ガヴローシュには一事件が起こっていた。

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